■オリーブ製油工場が新設され、住民が増えて地元の学校も存続

 アラゴン(Aragon)州テルエル(Teruel)県にあるオリエテのように、スペイン地方部の市町村では1936~39年の内戦が終結すると、都市部の工場などでの職を求めて人口の流出が始まった。その結果、1キロ四方当たりの人口がわずか2人という、ロシアのシベリア(Siberia)地方のような地域さえ生じた。スペイン全体の平均人口密度が1キロ四方当たり92人なのに対し、テルエル県の人口密度はたった9.1人だ。

 スペイン政府の経済・労働問題顧問機関である経済社会評議会(CES)によると、人口500人未満の約3900の自治体が過疎化によって消滅の危機にある。

 オリエテではオリーブの製油工場が新設されたおかげで、農業を含め、八つのフルタイム雇用が創出された。新しい住民も増え、地元の小さな学校も存続が決まった。

 消滅の危機にあるスペイン各地の過疎地では、オリエテと同様のプロジェクトが立ち上げられている。同じくアラゴン州にあるサリオン(Sarrion)は、トリュフを中心に経済を活性化。ソリア(Soria)では、NGOが有機農法プロジェクトを立ち上げ、困窮した人々を雇用している。西部のエストレマドゥーラ(Extremadura)州ではサクランボの木のサポーター制度が進められている。

 人口減少問題を担当する護民官(行政監察委員)のイサウラ・レアル(Isaura Leal)氏はAFPの取材に対し、オリエテの例は、若い世代が地方での暮らしを視野に入れ始めている証しだと述べる。「私たちの親世代が言っていたように、地方で暮らすのは田舎者や敗者という見方はもうなくなっている」 (c)AFP/Adrien VICENTE