■無関心と医学的根拠のない誤情報

 はしかは1960年代から使用されている「安全かつ有効な」ワクチンの2回接種で容易に予防できるため、こうした状況はもどかしいとWHOは述べている。

 WHOの予防接種普及プログラムを統括するカトリーナ・クレシンガー(Katrina Kretsinger)氏によると、はしか患者数は2016年までは着実に減少していたが、2017年以降に急増したという。

 貧困国や周縁地域、紛争国などではワクチンを入手できないことが問題になる。しかしその一方で、欧州や他の富裕地域では、はしかワクチンに関する無関心と誤った情報に再流行の原因の一端があると専門家らは分析する。

 一部の国々では、はしかワクチンを自閉症と関連付ける医学的根拠のない主張がなされ、そうした主張がいわゆる「反ワクチン」運動の支持者らによってソーシャルメディアなどで拡散されてもおり、これがはしかの再流行に関連しているとされる。

 オブライエン氏は「われわれはこれまでの進歩を後退させている」「現在の後退は、予防手段がないから起きているのではない。はしかの予防方法は確実にある」と述べ、「現在の後退の原因は、ワクチン接種が行われていないせいだ」 と指摘した。(c)AFP