【2月15日 AFP】国連(UN)の世界保健機関(WHO)は14日、2018年の世界の麻疹(はしか)患者数が前年比約50%増だったとして、はしかの流行を阻止するための取り組みが「後退している」と警鐘を鳴らした。

 WHOは、はしかの再流行という憂慮すべき傾向が、世界規模で起きていることを示す予備データを提示した。予防接種率が過去最高水準に達している富裕国でも、この傾向が認められている。

 WHOの予防接種・ワクチン・生物学的製剤部門を統括するキャサリン・オブライエン(Katherine O'Brien)氏は記者団に「WHOのデータは、はしか患者数の大幅な増加を示している。この傾向はあらゆる地域でみられている」と語った。

 オブライエン氏は「現在起きている流行は長期化しており、かなり大規模で、さらに拡大している」とし、「これは個々に孤立した問題ではない」と述べた。

 また報告された患者数は、実際の患者数の10%足らずだろうという。同氏は「報告数で50%の増加が確認されていることを考えると、われわれが間違った方向へ向かっていることが分かる」と述べ、感染例の実際数は「数百万件」に上るだろうと指摘した。

 2018年に世界各国で報告されたはしか患者数のWHOへの提出期限は4月となっている。だが、すでにこれまでに寄せられたデータの段階で、前年約17万人だった患者数は約22万9000人に増加している。WHOの暫定統計によると、2018年のはしかによる世界の死者数は約13万6000人に上るという。

 はしかは非常に感染力が強い伝染病で、重度の下痢、肺炎、失明などを引き起こす可能性があり、場合によっては死に至る恐れもある。WHOによれば、はしかは依然として「幼い子どもの主要な死因の一つ」だという。