ソ連軍撤退から30年、米軍撤退後にアフガニスタンを待つのは混乱の再来か
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■パンジシールの獅子
「パンジシールの獅子」と呼ばれたマスード氏は、パンジシール渓谷でソ連軍の攻勢を9回退けたことで知られており、国民的英雄となっている。2001年9月11日の米同時多発攻撃の2日前に国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)により暗殺されたが、その命日は祝日とされ、毎年、追悼行事が行われている。
首都カブールの北にあるパンジシール渓谷に向かう道の途中に巨大なマスード氏の肖像があり、その横にはさび付いたソ連軍の戦車やヘリコプター、重機関銃が放置されたままになっている。渓谷を見下ろすと、雪に半分埋もれたソ連製戦車が見える。脇にはスプレーで「アフガニスタンよ、永遠に。タリバン(Taliban)に死を」というスローガンが落書きされていた。
もう一人の元ムジャヒディン、モハマド・ミルザ(Mohammad Mirza)さんは、「帝国の墓場だ」と話す。
現在は警察署長を務める別の元ムジャヒディンの男性は、「やつらは、9回(この渓谷を手に入れようと)試みたが、9回とも失敗した」と誇らしげに語る。
ワリ・モハマド(Wali Mohammad)さんは、14歳でムジャヒディンに加わった。マスード氏の命日は、「この国を侵略しようとする者は皆、同じ目に遭うということを思い起こさせる日だ」と言う。
だが、ムジャヒディンの勝利はほろ苦かった。勝利は恒久的な平和をもたらすことはできず、平和がすり抜けていったアフガニスタンは、過酷な40年が続いた。