【2月9日 AFP】(更新)タイのワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王の姉、ウボンラット王女(Princess Ubolratana)を首相候補に擁立すると発表していた国家維持党(Thai Raksa Chart Party)は9日、擁立に反対する国王の意向に従うと表明した。8日に発表された王女の首相候補擁立は、わずか1日にして撤回となった。

 タクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派である国家維持党は報道陣に宛てて、「国家維持党は、国王と王室全員への忠誠心を持って、国王の意向に従う」と発表。タイの立憲君主制の下で、「伝統と王室の慣習」に関して党としての義務を果たすつもりでいると続けている。

 同党は8日朝、「学識があり有能なウボンラット王女が(首相に)最もふさわしいとの考えで、党執行部は一致した」と王女擁立を発表。現在の体制に変革を起こし、2014年に当時のインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)首相率いる文民政権が軍事クーデターによって倒されて以来、政権を握ってきた軍事政党を脅かす方策とみられていた。

 しかしワチラロンコン国王は同日夜、ウボンラット王女を3月の総選挙で首相候補に擁立する異例の動きについて、「高位の王室の一員を政治体制に持ち込むことは、いかなるものでも王室の伝統と国の文化に反し、極めて不適切」と激しく非難していた。(c)AFP