■他会場も将来は不透明

 1億ドル(約110億円)を投じた平昌のオリンピックスライディングセンター(Olympic Sliding Centre)は、莫大(ばくだい)な維持費を払いたくない江原道によって昨年3月から閉鎖されている。国内で唯一のボブスレーとスケルトンの施設が使えなくなったことで、両種目の代表チームはカナダでの練習を余儀なくされている。

 スピードスケートが行われた江陵オーバル(Gangneung Oval)も、利用計画が定まらずに放置されている。開閉会式が行われた平昌オリンピックスタジアム(Pyeongchang Olympic Stadium)は予定通りに解体され、メインスタンド跡に記念館がオープンする見込みだ。

 他の会場も利用状況は寂しい。江陵ホッケーセンター(Gangneung Hockey Centre)は昨年12月には3日間の全国選手権が開催されたが、その前は8か月にわたって利用機会がなかった。2月には二つの国際大会が行われたが、韓国にはプロのアイスホッケーリーグがないため、9500万ドル(約105億円)の建設費を要した会場にどれだけ観客が集まるかは未知数だった。フィギュアスケートとショートトラックの舞台となった江陵アイスアリーナ(Gangneung Ice Arena)はコンサート会場に転用されているが、使われたのはたった2回にとどまっている。

 文化体育観光省の関係者によれば、スライディングセンターとスピードスケート会場、ホッケー会場については、政府の韓国開発研究院(KDI)が調査を行っており、6月に維持費用と負担元などに関する報告が上がる予定だという。

 状況の停滞に、一般市民は当惑している。家族とともに平昌を訪れた30代の起業家男性は、「国は会場の長期的な活用プランを事前に立てておくべきだった」と話した。

「あれだけのお金を投資しておきながら、維持コストが高すぎるのを理由に施設を捨て置くなんて、韓国国民として理解しがたい」 (c)AFP/Kang Jin-kyu