【2月13日 AFP】メニューにはソーセージ、ソーセージが描かれた壁紙、天井からぶら下がるソーセージのモビール──さらにベッドにはソーセージ形の枕まである。ベジタリアンにとっては悪夢のようなホテルが昨年、ドイツ南部の村で開業した。

 ホテルはソーセージの「ブラートブルスト」をテーマにしており、4世代続く食肉業を営むクラウス・ブーブル(Claus Boebel)さんが始めた。ブーブルさんによると、ソーセージをテーマにした世界初で唯一のホテルだという。

 場所はドイツ・ニュルンベルク(Nuremberg)から南に車で40分ほどの人口約300人の村、リタスバハ(Rittersbach)。2018年9月の開業以来、欧州や世界各地から客が訪れ、繁盛している。

 このとっぴな案の裏側にあるのは、地元の食肉店を保護する一発逆転を狙った戦略だ。ドイツの多くの町にある食肉店はかつて、ミッテルシュタンド(Mittelstand)と呼ばれるドイツの中小企業の柱だったが、現在は大規模小売店との競争や食肉消費の落ち込みに直面している。

 ブーブルさんはソーセージの缶詰を模したいすに腰掛けながら、「私の食肉店のような小さな職人が経営する店でも、賢い知恵を持ち合わせれば生き残れることを示したい」と話した。

「それに私は田舎の生活が好きで、村を離れるよりも客をこの場所に呼び寄せたい」 (c)AFP/Deborah COLE