【2月2日 AFP】中国政府とバチカン(ローマ法王庁)の緊張関係が緩和する中、中国の国営メディアは、政府公認教会の聖職者に、非公認の「地下教会」の主教が昇格することになったと報じた。

 中国にいる推定1000万人に上るカトリック教徒は法的に、共産党が任命した聖職者を擁する、政府管理下にある団体が運営する教会だけに通うことが認められている。だが多くの信者たちは、バチカンに忠誠を誓う司教らが主宰する「地下教会」に通っている。


 1951年に外交関係を絶った中国とバチカン政府は昨年9月、司教の選出に関して合意し、両国の国交回復に道が開かれると同時に、中国での司教の選出に双方が関与することになった。

 中国の国営紙「環球時報(Global Times)」は1日、中国中部の南陽(Nanyang)教区で靳禄岗(Jin Lugang)氏が補佐司教に就任したと報道。98歳の朱寶玉(Zhu Baoyu)氏司教が退任するまで補佐を務めるという。

 香港の「聖神研究センター(Holy Spirit Study Centre)」に所属する中国カトリック教会の専門家、アンソニー・ラム(Anthony Lam)氏はAFPの取材に対し、「これは良いことだと思う」と述べ、中国全土の司教区で40ほどのポストに空きがあると指摘。この枠を埋めるために、法王庁は少なくとも20人の聖職者を任命したが、中国政府はまだ承認していないという。

 ラム氏は、任命候補者の調査が課された自治体政府に言及し、「彼らは非常に神経質になっている」「自治体政府は、この人は信頼できる、政府に対して害を与えることはしないと信用できるなどと、中央政府にある程度推薦する」と説明。一部の政府関係者らが慎重な態度を取り、一部のケースで長い時間をかけるのは、こうした理由からだという。

 環球時報は、教区の半数近くが司教不在の状態であり、中国のカトリックは「政治的に信頼できる」司教を早急に必要としている、と伝えている。(c)AFP