【2月2日 AFP】インドの首都ニューデリーで、必死に駆け落ちしてきたカップルに避難場所を提供するNGOの代表が、カップルに対する強要と虐待の疑いで逮捕された。当局が先月31日、明らかにした。

 元ジャーナリストのサンジョイ・サチデフ(Sanjoy Sachdev)容疑者が創設した「ラブ・コマンドス(Love Commandos)」は、保守的なインド社会で、家族や宗教、カースト制度からの圧力に逆らって結婚しようとするカップルに対し、安全な避難場所と法的な助言を与えることで有名となった。

 だが29日夜、同国の女性団体「女性のためのデリー委員会(DCW)」とともに警察が、カップルたちの避難場所の一つに踏み込み、4組のカップルを解放。その後、サチデフ容疑者を逮捕した。

 DCWは、「被害者にとって安全な避難場所を提供すると見せかけ、(サチデフ氏が)カップルに対して違法な監禁と強要に携わっていたことが分かった」と述べた。

 また、強制捜査で発見された4組のカップルは、恣意(しい)的な金額を費用として支払うよう強要され、退去しようとした場合には脅されたと話していたという。

 サチデフ容疑者は、結婚を望んでいた女性の家族からレイプ犯のぬれぎぬを着せられた男性の支援に関わった後、2010年に「ラブ・コマンドス」を創設。

 インドでは、大多数が家族の決めた相手と結婚し、宗教やカーストが異なる結婚のため伝統に逆らったカップルは容赦のない反発を受けることになり、毎年数百人が、家族の評判を守るため親族によって殺害される「名誉殺人」の犠牲となっている。

 DCWのスワティ・マリワル(Swati Maliwal)代表は、「支援の名の下で、弱い立場にある若者に対して強要や虐待をするのは非常に恥ずべきことで、悲劇的だ」と述べた。(c)AFP