【2月2日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は1日、ロシアの陸上選手12人に対し、ドーピング違反による資格停止処分を科したと発表した。その中には2012年ロンドン五輪で男子走り高跳びを制したイワン・ウホフ(Ivan Ukhov)や、2013年の第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)で女子走り高跳びの金メダルを獲得したスヴェトラーナ・ショコリナ(Svetlana Shkolina)らが含まれており、処分期間は2年から8年となっている。

 CASはこれまで、2016年にロシアによる国家ぐるみのドーピング違反を暴いたリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏の報告書から得た証拠を基に、ロシア陸上競技連盟(RUSAF)に資格停止処分を下したほか、ドーピング違反をした選手の特定を行っていた。

 国際陸上競技連盟(IAAF)は、2015年11月にロシア選手の国際大会出場を禁止したが、先月には一部の選手に対して2019年から処分を解除すると決定。CASはIAAFの「代理」としてドーピング違反が疑われる選手に関する手続きを開始していた。

 CASはコメント文を発表し、「全てのケースにおいて、疑惑のアスリートがIAAFの規則に基づいた反ドーピング規則に抵触していることが発覚した。個々の処分に関しては、CASが選手12人それぞれに科した」と述べた。また、ロンドン五輪と2013年世界選手権の間に行われた違反を対象とした今回の決定は、異議申し立てができることも付け加えた。

 これに対して、世界反ドーピング機関(WADA)は「裁定を歓迎する」としており、オリビエ・ニグリ(Olivier Niggli)事務総長は、「これらの決定はアスリート、各国の反ドーピング機関、WADA、そしてクリーンなスポーツを望んでいる世界中の人々にとって歓迎すべきニュースである」「この動きによって、正義が示されることを保証すると誓っているあらゆる組織が、裏方として多くの作業を行っていたことをアスリートが再認識してくれるに違いない」とのコメント文を出した。

 ニグリ事務総長はさらに、ロシア・モスクワの反ドーピング研究所からデータを回収した際に、WADAのやり方に議論が巻き起こったことについても、今回の裁定で疑念が晴れたと強調した。

「先月完了した元モスクワ研究所から分析データを回収するWADAの作業が、どれほどクリーンなスポーツにとって重要な役割を果たし、2018年9月20日のWADA理事会においてロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止処分を解除した決定がいかに正しかったか、今回の件で改めて示された」 (c)AFP