■引退後の計画

 ゴーン被告が日本で裁判を待つ身であっても、レバノンの人々は好感を持って彼のことを覚えている。そこには個人が経営する小規模ブドウ畑への支援も含まれている。

「レバノンに来るといつもゴーン氏は、地元の生産者が故郷で仕事を続けられるよう、ブドウは地元から購入するようにと強調していた」と従業員らは語る。

 また知人らによると、ゴーン被告はレバノンでの金融業や不動産への投資に加え、このワイン事業を自らのルーツに立ち返るための「第一歩」と考えていたという。

 ゴーン被告の友人であり、現地とのつなぎ役としてパートナーを務める元裁判官のショクリ・セイダー(Choukri Sader)氏は、「カルロス(ゴーン被告)は近年、利益のための投資というよりも、彼が持つレバノンとのつながりに対して投資しようとしていた」と語る。

「彼は、引退後の生活の一部をレバノンで送ろうと考えていた。おそらくパリや東京で見つけることができなかった、ちょっとした人の温もりを求めているのだろう」 (c)AFP/Bachir El-Khoury