【2月1日 AFP】英仏独の3か国は1月31日、米国の対イラン制裁を回避するための特別目的事業体(SPV)を立ち上げた。イランはこの動きを歓迎した一方、米国は警鐘を鳴らしている。

 3か国は2015年、米国などと共にイランに制裁緩和と引き換えに核開発の抑制を求めるイラン核合意を締結。しかし、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は昨年、核合意からの離脱を突然表明し、対イラン制裁を再発動した。

 欧州連合(EU)は、待望のSPVが、イランとEU企業の貿易継続を可能にして核合意維持に資することを期待している。

「貿易取引支援機関(INSTEX)」と呼ばれるこのSPVの立ち上げは、数か月にわたる準備期間を経て、ルーマニアの首都ブカレストで開催された非公式のEU外相理事会で発表された。

 INSTEXは英仏独によるプロジェクトで、EU加盟28か国から正式承認を受けることになっている。当初の資本金は3000ユーロ(約37万円)で、仏パリで登記された。英国人がトップを、ドイツ人とフランス人が監査役を務める。

 ジェレミー・ハント(Jeremy Hunt)英外相、ジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)仏外相、ハイコ・マース(Heiko Maas)独外相は共同声明で、「INSTEXは正当な欧州・イラン貿易を支援するもので、まずは医薬品や医療機器、農産物など、イラン国民にとって何よりも不可欠な分野に重点的に取り組んでいく」方針を示した。

 長期的には、対イラン貿易を希望する他の国々もINSTEXを利用できるようにする方針だが、米国にとっては面白くないだろう。

 ハント英外相はINSTEXの立ち上げについて、イラン核合意継続への欧州のコミットメントの「明確かつ実践的な表明」と述べる一方、「イランによる敵対行動や安定を乱す行動への対処を妨げるものでは決してない」と強調した。(c)AFP/Damon WAKE