■ゾウの命を守る

 マンモスの牙を採掘する業者は、最近、国営テレビで、採掘業者を大金持ちの密輸業者のように描いているドキュメンタリーが放映されたことに不安を募らせている。この番組は、サハ共和国当局が採掘業者の「犯罪的な」取引に目をつぶっており、採掘業者は考古学的価値のある地域を「野蛮にも」破壊していると批判した。

 だが、サハ共和国科学アカデミー(Yakutia Academy of Sciences)の古生物学者バレリー・プロトニコフ(Valery Plotnikov)氏は、マンモスラッシュのおかげで、自分たちでは入手できないような標本を手に入れることができるようになり、科学にとっては有益だと話す。

 プロトニコフ氏によると、ある採掘者が昨夏、珍しい絶滅したホラアナライオンの子どもの化石を発見したという。「私たちは、認可を得て採掘している業者と共存している」

 サハ共和国のアイセン・ニコラエフ(Aisen Nikolayev)首長は、マンモスの牙の採掘を規制する法案が2019年中には可決されることを期待すると述べた。マンモスの牙を特殊な天然資源として分類する全国的な法律が制定されなければ、売買は「グレーゾーン」のままだと指摘する。

 一方、サハ共和国の一部の住民は、自分たちが象牙のためのゾウの密猟を食い止めるのに一役買っていると自負している。

 ある住民は、「私たちのマンモスの牙が、ゾウを救っている」「マンモスの牙の採掘は、私たちにとっても、アフリカの人にとっても重要だ」と語った。(c)AFP/Maria ANTONOVA