【1月27日 AFP】スペイン南部アンダルシア(Andalusia)自治州で26日未明、井戸に転落し13日間にわたる救出活動が続けられていた男児(2)の遺体が発見された。悲劇的な結末を迎え、同国は悲しみに包まれた。検視の結果、男児は転落当日に死亡していたことが分かったと現地紙は報じている。

 フレン・ロセヨ(Julen Rosello)ちゃん(2)は今月13日、同自治州マラガ(Malaga)近郊のトタラン(Totalan)で両親が昼食を取っている間に遊んでいたところ違法に掘られた非常に狭い井戸に落ちた。大勢の技師や警察官、鉱山作業員は、フレンちゃんがいると考えられている地点に到達すべく、不眠不休で救出活動を行ってきた。しかし26日未明、遺体となって見つかった。

 フレンちゃんの両親は2017年にも、心臓の問題を抱えていた子どものオリバーちゃんを3歳で亡くしている。

 中央政府から同自治州に派遣されているアルフォンソ・ロドリゲス・ゴメスデセリス(Alfonso Rodriguez Gomez de Celis)政府代表は記者会見で、フレンちゃんは71メートル落下して土の層に激突したと明らかにした。フレンちゃんの死をめぐり「問われる可能性のある責任」すべてについて判断すべく調査を行っているという。

 26日に行われた検視の結果は、この件を担当する予審判事に伝えられる。現地紙マラガ・オイ(Malaga Hoy)が消息筋の話として報じたところによると、検視の結果、フレンちゃんは転落当日に「外傷性脳損傷」で死亡していたことが判明したという。

 ペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相はツイッター(Twitter)に、「スペイン人全員が、遺族の計り知れない悲しみを察している。私たちは彼の元にたどり着くため、注意を払いながら全ての手順を踏んできた」と投稿した。国王フェリペ6世(King Felipe VI)もツイッターで、「遺族全員に心からのお悔やみ」を伝えた。

 両親と親族は心を取り乱しながらも事故現場に詰め続けた。技術的に困難な問題で何度も遅れた救出活動は国中の注目を集めていた。ゴメスデセリス氏は26日朝の記者会見で、救出活動について、短期間に8万5000トンもの土を移動するなど「大がかりな仕事」だったと語っている。

 この井戸に目印はなく、違法に掘られたものだった。アンダルシア自治州にはこうした違法な井戸が多数存在している。(c)AFP