【1月27日 AFP】2015年にパリで起きたイスラム過激派による同時襲撃事件で90人が死亡した劇場「バタクラン(Bataclan)」から、英覆面ストリートアーティスト、バンクシー(Banksy)が制作したとされる事件の犠牲者を追悼する作品が盗まれた。

 バタクラン劇場は「追想のシンボルで、すべての人、つまり地元住民、パリ市民、世界市民のものであるバンクシーの作品が私たちから奪われ、スタッフ一同、深く憤っている」と発表した。

 この作品は昨年6月、パリ市内に出現した似たようなテーマの他の絵とともに現れた。悲しげな表情を浮かべた少女のステンシル画で、バタクランの非常口の扉の一つに白で描かれていた。

 捜査関係者は仏ニュース専門局LCIに対し、25日から26日にかけての夜間、フード付きの服を着用し、電動でディスクを回転させて研磨・切削を行うアングルグラインダーを持った集団が、絵を切り取りトラックで持ち去ったと語った。

 ごく一部の知人のみが正体を知っているバンクシーは、昨年10月に競売に出品された作品が104万2000ポンド(現在のレートで約1億5000万円)で落札された直後に、作品に仕掛けられていたシュレッダーで自壊し、センセーションを巻き起こした。(c)AFP