【1月27日 AFP】英国北アイルランドとアイルランドの国境で26日、英国による欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)に反対する抗議デモ参加者がコンクリート製の壁を立ち上げ、国境道路を一時封鎖した。ブレグジットが情勢の不安定だった国境地域に激しい混乱をもたらす恐れがあることを示そうと、軍事検問所に模した小屋なども設置した。

 地元住民らは国境道路にコンクリート製の高い壁を運び込み、軍事検問所に模した小屋や見張り塔を設置。英国の武装兵士の制服を着た男性数人も配備された。「トラブルズ(Troubles)」時代として知られる、30年続いた北アイルランド紛争の忌まわしい記憶をほうふつさせた光景だった。

 ブレグジットに反対する国境周辺地域のグループ「ボーダー・コミュニティーズ・アゲインスト・ブレグジット(Border Communities against Brexit)」の活動家ジョン・マクナミー(John McNamee)さんは、「これは実は25年前の状況がどのようなものだったか若い世代にわからせるためのものだ」と説明、「以前はこういう状況で、私たちはこれを二度と繰り返したくない」と語った。

 北アイルランド紛争ではアイルランド共和派と英連合支持派の準軍事組織、英国軍が支配権をめぐり争う中、国境地域には軍が配備された。1998年に北アイルランド包括和平合意「聖金曜日の合意(Good Friday Agreement)」が結ばれると、国境は事実上なくなり紛争は終結した。この紛争で3600人以上が死亡した。

 英議会は国境警備の必要性を排除するEU離脱協定案を可決させることができず、行き詰まりを打開できないままでいる。

 デモ参加者らはこの日、北アイルランドとアイルランドの500キロに及ぶ国境の管理復活を避けるよう英議会に求めた後、歓声を上げながら大型ハンマーを使い、設置した壁をたたき壊した。(c)AFP