■「世界を再起動」

 呼び掛けに参加した機関らは電子廃棄物を「世界で再起動」することを提唱しており、プラスチック廃棄物が近年激しい議論を呼んでいるように、政府、企業、消費者が環境への副次的な影響を制限するために電子機器の再利用や転用の方法を模索することを期待している。

 電子廃棄物の回収ネットワークを向上させることが、重大な効果をもたらすとキュール氏は指摘する。

 バッテリーやカメラのレンズなどに用いられる、いわゆるレアアース物質は、世界のほんの一握りの地域にしか存在しない上、採掘費用も上昇している。

 例えば、携帯電話1トンには、金鉱石1トンに含有される金の100倍多くの金が含まれており、これによって再利用に十分な需要が生み出されると、キュール氏は指摘する。

「電子機器に含まれる物質の100%近くを再利用することをリサイクル業者に課せば、実現するよう最善を尽くすだろう」と、キュール氏は説明する

「現時点でそうしていないのは、需要がないからだ。資源価格はいまだに採掘できるレベルにとどまっている。技術的には(電話やコンピューターに含まれる金属の)ほぼすべてを再利用することは可能だが、今のところはまだ採算性がないため、規模の経済が不可欠だ」

 また、電子廃棄物は健康に重大な影響を及ぼす。電子廃棄物は割合的には埋め立て地の固形廃棄物の2%にすぎないが、埋め立て地の危険性物質の70%までを占めている。

 電子廃棄物が有償で輸入されるナイジェリアやパキスタンなどの発展途上国では、非公式経済が発展しており、輸入されてきた廃棄物の中から転売できるものを探す人々の姿が見られる。だが、これらの人々が電子廃棄物による危険にさらされている可能性もある。

「自国で過剰となった機器を、わずかな金銭に換えるために発展途上国に輸出しているが、それに起因する環境および健康問題が多く確認されている」と、キュール氏は述べた。(c)AFP/Patrick GALEY