【1月25日 AFP】8年前のいわゆるジャスミン革命は長年権力の座にあった独裁者を追放したが、市民の「尊厳」回復と国の経済難脱却にはつながらなかったと、チュニジアの若者は語る。

 ソフィエン・ジュベリ(Sofiene Jbeli)さん(35)は、チュニジアの首都チュニス西方の労働者階級が多く暮らす衛星都市ドゥアルイシェル(Douar Hicher)に住むコンピューター技師だが、現在は失業中だ。「革命以降、私たちは自由を手にしたが、尊厳はいまだ取り戻せていない」

 ジュベリさんは他の多くの人と同じように、中東地域の民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」の発端となったチュニジアの革命に参加したことを後悔はしていない。この革命によって、当時のジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)大統領をはじめとする軍出身の政治指導者は追い出され、大統領は2011年1月14日にサウジアラビアへ亡命した。

 だが、ジュベリさんは苦々しい思いも抱いている。

「(大統領選挙と議会選挙が予定されている)2019年に制度が変わらなければ、あの革命は無駄になってしまう」とジュベリさんは語る。

 NGO「インターナショナル・アラート(International Alert)」の社会学者、オルファ・ラムルム(Olfa Lamloum)氏は、「革命では『仕事、尊厳、自由を』というスローガンが掲げられていたが、初めの二つは実現されていない」と指摘する。

 チュニジアは、民主化移行の模範として称賛されてきた。だが、経済成長してはいるものの、少数のエリートに富が集中し、経済も彼らが支配したままだ。

 国は7.5%に上るインフレ率の改善に取り組んでいるが、失業率は15%超に達している。こうした問題の影響を最も受けているのは大卒の若者だ。