■野党連合まとめ役として実力発揮

 扇動的な左派指導者だった故ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)前大統領が自ら指名した後継者であるマドゥロ氏は、グアイド氏のことを「政治で遊ぶ子ども」と呼んでいる。

 だが、グアイド氏は恐れることなく、マドゥロ氏の2期目就任を阻もうとしている。昨年5月に行われた大統領選でマドゥロ氏は再選を果たしたが、野党は選挙をボイコットし、米国や欧州連合(EU)、中南米諸国の多くは不正選挙だとして結果を認めていない。

 グアイド氏は今月5日、史上最年少で国会議長に就任したが、演説はあまり得意ではない。だが、協調体制の構築力は評価されている。これは、分断しがちでまとまりがないベネズエラの野党勢力に非常に求められている能力だ。

 グアイド氏は議長就任後、短期間で野党連合をまとめ上げ、マドゥロ氏は政権の「強奪者」であり、同氏の再選は不当だと正式に宣言させた。一方で、マドゥロ氏に反対したために拘束されたすべての軍および政府関係者に恩赦を与えることも約束した。その過程でグアイド氏は徐々に自信を深め、集会では笑顔を見せ、演説もうまくなっていった。

 軍最高司令部と最高裁の支持を堅持しているマドゥロ政権に対して、無力であることの解決策はまだ見いだせていない。だがグアイド氏は、政権を掌握するために最終的に必須となる軍の支持を取り付けるために、臆することなく呼び掛けている。