【1月17日 AFP】カリブ海の島国ハイチ。首都ポルトープランスでは、雑然と立ち並ぶ建物が丘の斜面まで果てしなく無秩序に広がる。ここに暮らす人々の生活に、高インフレやまん延する汚職、危機的なまでの通貨下落が伸し掛かる。

 大統領府から1キロもない場所にあるフォールナシオナル(Fort-National)地区には、コンクリートブロックを積み上げた家屋や、プラスチックや防水シートでつくられた簡易な小屋が、ごみだらけの狭い道沿いにところ狭しと立ち並ぶ。下水はそのまま垂れ流し状態だ。

 かつては対米ドルで安定していたハイチの通貨グールドも、昨年夏以降、3分の1近くも下落。輸出よりも輸入が4倍も多いハイチにとって、この通貨安は壊滅的な打撃だ。

 貧困ラインの1日1.90ドル(約206円)未満で生活する人々の割合は、ハイチ人口の約60%に上る。物価の上昇が貧困層に及ぼす痛手は計りしれないが、縮小する中産階級も苦難を強いられている。

 格差の拡大を懸念する経済学者ケスネル・ファレル(Kesner Pharel)氏は、「多くの親たちが、わが子に教育を受けさせるのに苦労している。彼らは食卓に食べ物を並べるか、それともわが子を学校に通わせるかで二者択一を迫られている」と指摘。ハイチでは最も裕福な20%が国内資産の60%以上を握る一方、20%の最貧困層が占める資産は2%にも満たないと説明し、格差拡大の現実を「こうした数字が物語っている」と述べた。

 映像は、上空からの住宅密集地区の街並みと、人々の暮らしぶり。ポルトープランスで2018年12月17日撮影。(c)AFP/Amelie BARON7