【1月16日 AFP】国際刑事裁判所(ICC)は15日、2010年のコートジボワール大統領選後に発生した一連の衝突で人道に対する罪に問われていた同国前大統領ローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)被告(73)に無罪を言い渡し、同被告の即時釈放を命じた。ICC検察局は判決を「予想外」としており、ICCにとって大きな打撃となる。

 コートジボワールでは2010年の大統領選でバグボ被告が敗北を認めなかったことから、数か月にわたる騒乱が発生し、約3000人が死亡した。人道に対する罪に問われたバグボ被告は、ICCで裁判にかけられた初の国家元首となっていた。

 クーノ・ターフッサ(Cuno Tarfusser)裁判長は、ICCが「多数決により、検察側が立証責任を必要な基準まで果たせなかったとの判断を下す」と述べた。またバグボ被告により同国の青少年相に指名されていたシャルル・ブレ・グデ(Charles Ble Goude)被告も、バグボ被告と同じく「すべての罪状」で無罪を言い渡すとした。

 裁判官らはバグボ氏を権力の座にとどめるための「共同計画」や市民を攻撃する方針、あるいはバグボ氏とブレ・グデ氏の演説が暴力を扇動したという証拠を検察側が示せなかったと指摘した。

 7年間勾留されていたバグボ氏とブレ・グデ氏は、無罪判決を受けて抱き合った。法廷は拍手と泣き声に包まれ、傍聴席では支持者らが歓声を上げた。

 ファトゥ・ベンスダ(Fatou Bensouda)主任検察官が率いるICC検察局は、判決は「残念で、予想外」だったとし、検察側には上訴する権利があると述べた。

 国際法に詳しいカナダ・トロント大学(University of Toronto)のマーク・カーステン(Mark Kersten)氏はAFPに対し、バグボ氏の無罪判決によりICCは「痛切な傷を負った」と指摘。「ICCによる国家行為者に対する訴追成功の能力に重大な疑問符が付く」と話した。(c)AFP/Jan HENNOP, Danny KEMP