【1月11日 AFP】厚生労働省が賃金や労働時間の動向を把握するためにまとめている「毎月勤労統計」をめぐり、長年にわたって不適切な調査が行われていたことが発覚した。問題を受けて政府は11日、この統計を基に雇用保険などが過少給付されていた人々に対して追加支給を実施するため、2019年度の予算案を修正する必要があると発表した。

 毎月勤労統計は、雇用保険などさまざまな給付金を算定する際の指標となっている。厚労省は今週になって、データ収集が不適切だったことを認めた。従業員500人以上の全事業所を調査対象としているにもかかわらず、東京都内で調査されたのは、該当する1400事業所のうち3分の1程度にとどまっていた。

 同省によると、不適切調査は2004年から行われており、2000万人に対し計530億円の追加支給が行われるという。

 菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は記者会見で、同省から遡及(そきゅう)支給の必要があるとの報告を受けたことを明かし、2019年度予算に必要額を計上するため調整を行う方針を示した。

 同省は、昨年12月20日に問題の報告を受けていたにもかかわらずデータを公表していたことが判明しており、公式統計の信頼性が疑問視されている。(c)AFP