■スマートスピーカーの「盗み聞き」への懸念を新ビジネスに

 スマートスピーカーに関する消費者側の懸念の一つは、スマートスピーカーに常に「盗み聞き」されていて、プライバシーが危険にさらされているのではないかという点だ。

 今回のCESでスタートアップ企業「Smarte」が発表したスマートスピーカー、「ミュート(Mute)」は、プライバシー保護機能が搭載され、スマートスピーカーに対する質問以外の会話を拾わないようになっている。

 またフランスのスタートアップ企業スニップス(Snips)は、インターネットに接続せずにデバイスにインストールできる独自のデジタルアシスタントを提案している。

 同社創業者のランド・ヒンディ(Rand Hindi)氏は、「消費者がわが社に注目しているのは、巨大IT企業に依存したくないからだ」と語る。

 円滑なIT環境構築のためにはユーザーのデータが必要だとするIT企業の主張はうそだと、ヒンディ氏は言い切る。「彼らが個人情報を必要とする唯一の理由は、ターゲティング広告の効果を最大限にするためでしかない」

 米ITコンサルティング会社テックナリシス・リサーチ(TECHnalysis Research)のアナリスト、ボブ・オドネル(Bob O'Donnell)氏は、フェイスブック(Facebook)をはじめとする昨年の一連の個人情報流出事件によって、プライバシーと個人情報保護にまつわる問題を意識し始める企業が増えたと語る。

「個人情報保護の問題がどれほど巨大で広範に及ぶか、私たちは今、痛切に感じ始めている」(c)AFP/Julie CHARPENTRAT