【1月13日 CNS】90年代後半生まれの「Jessie」さんは、中国・上海市中山公園(Zhongshan Park)のショッピングセンターの一角にある「瑪麗黛佳(Marie Dalgar)」店舗で化粧のしかたをライブ配信をしていた。毎日、平均約6万人の客がオンラインでJessieさんの実況配信を見ている。

 Jessieさんはこの日、3回実況配信を行って午後10時まで働いた。この店の販売員だったが、平日の日中は客はほとんど来ることがなく、待つことが仕事だった。

 昨年の5月に行われた、アリババ系通販の大手「天猫(TMall)」による「新小売(ニューリテール)」実店舗改造が行われると、状況は一転。ライブ配信が実店舗改造後の初仕事となった。Jessieさんは、販売員からライブ配信スタッフへと変身。販売員だった頃は、顧客の買い物が終わって店を出るとそれきりだったが、ライブ配信を始めた後は、顧客と気持ちがつながった気がするのだという。

 ライブ配信を始めた当初、Jessieさんは見てくれる人がいるのか心配だったが、フォロワーは回を重ねるうちに少しずつ増えていった。それまでは、自分を「草食系」で引っ込み思案な方だと思っていたが、ライブ配信をやるようになってからは、否応なくおしゃべりになり、最低100本の口紅をライブ配信用に使うようになった。唇がどんなに痛くても、カメラの前では笑顔を見せなければならないという。

 嬉しかったことは、ライブ配信を通して友達が多くなったことと、孤独でなくなったこと。収入はついに1万元(約16万円)の大台に乗り、以前の2倍を超えた。

 昨年の「双11(独身の日)」の期間、Jessieさんが働く「瑪麗黛佳」は全国15店舗でのべ294時間にわたってライブ配信を行い、「天猫」での累計観客数は130万に上り、11月11日の当日ライブ配信による販売は1457%の増加を見た。Jessieさんは「ブランド品の販売は以前はオン・オフラインのつながりがなかったので、販売員は自分自身の利益のために、『オンラインショップの製品には問題がある』と説明してしまい、消費者を困惑させていた」と振り返る。

 現在は、オンラインの実況配信をオフラインの実店舗でやっているので、顧客の不安を解消できる。Jessieさんのようなライブ配信スタッフは37人。同社は「ライブ配信学院」を設立し、ライブ配信の形で、種々の訓練を行い、毎日異なる講師が種々の課程の講義を行っているという。(c)CNS/JCM/AFPBB News