【1月12日 CNS】「マラソン大好き人間」を自認する胡松濤さん(仮名)は、40歳にもならないうちに財を成し、各地で行われるマラソン競技会に参加するだけのお金と時間が持てるようになった。かつては「参加しないマラソン競技会はない」とうそぶいていた。マラソンを始めた2010年頃は、中国国内で行われていた競技会は13しかなかったので、全てに参加できたが、最近は千にも上る大会が開催されるようになり、全てに参加することは不可能となった。

 統計によると、2018年に行われたマラソン大会(参加者800人以上)とクロスカントリー(同300人以上)大会を合わせると1072の競技会が行われ、参加者は実に530万人に上るという。

 マラソンを走った経験があるか無いかに関係なく、普通の市民がランニングシューズを履き競技会のコース上に立ち、SNS上で「スポーツの達人」の画像を「さらす」ことができる時代となったのだ。

 マラソン参加者の中には「孫悟空」や映画の人気キャラクターなど、奇抜な装束を身にまとった人が多くみられる。レジャー色あふれる参加者の中には、自ら考えたパフォーマンスを見せる人もいるが、多くは企業があつらえた「走る広告塔」だ。これらの「参加者」にとって、完走することなどどうでもよく、美しく自撮りができるかどうかが大切なのだ。

 昨年11月末に開催された深セン南山ハーフマラソンでは、選手が集団で近道をするなどの違反行為が発覚。主催者が確認したところによると、違反者は258人に上った。これまで100回以上のマラソン大会に参加してきた胡さんは、「これほど大胆で、常軌を逸したルール違反は見たことがない」と話す。