【1月7日 AFP】カンボジアで象牙として売られていた装飾品から、約1万年前に絶滅したケナガマンモスのDNAが見つかった。遺伝情報を活用して象牙の違法取引撲滅を目指す団体の解析で判明したもので、思わぬ発見に団体の科学者たちも驚いている。

 団体は、英スコットランドのエディンバラ動物園(Edinburgh Zoo)を本拠に野生生物の保護に取り組んでいる「ワイルドジーンズ(WildGenes)」。市場に出回っている象牙について、遺伝データを用いて出所や流通経路を突き止める活動を行ってきた。

 ワイルドジーンズのアレックス・ボール(Alex Ball)氏は「ケナガマンモスの牙でできた装飾品が流通していることが分かったのは、私たちにとっても驚きだった。しかも、カンボジアのような熱帯の国で、検査してみてすぐに見つかるなんて」と吐露する。

 ボール氏によれば、世界全体で年間3万頭を超える象が象牙目的で殺されているとみられ、カンボジアでは販売されている象牙の量が増えているもようだという。英国は昨年、希少価値のあるアンティークの一部製品を除き、象牙製品の販売を全面的に禁止している。

 一方、既に地上から姿を消したケナガマンモスは、絶滅の恐れのある種の国際取引に関する条約の対象になっていない。

 ボール氏は「今回の発見が現存している象の個体数にどのような意味を持つかは何とも言えないが、私たちはこれからも調査を続け、遺伝学を用いて(象牙製品の)出所を明らかにしていく計画だ」と述べている。(c)AFP