【1月6日 AFP】ポルトガルが外国人富裕層に発給している「投資活動用在留許可」(黄金ビザ)をめぐる汚職疑惑などの裁判で、同国の裁判所は4日、被告の大半に無罪判決を言い渡した。論議を呼びつつ欧州で広がっている投資移住ビザ発給に関する懸念が、この裁判を通じて浮き彫りになった。

 汚職や資金洗浄(マネーロンダリング)、不正なあっせん行為などの罪で17人が起訴されていた。このうち2人には執行猶予付きの判決が言い渡され、中国国籍の2人には罰金が科せられた。

 ただ、賄賂罪と不正なあっせん行為の罪で起訴されたミゲル・マセード(Miguel Macedo)元内相らは無罪となった。前の中道右派政権で内相を務めていたマセード氏はこの裁判の被告の中で最も高い地位にあったが、汚職疑惑で2014年12月に辞任に追い込まれていた。

 財政難のポルトガルは2012年後半、50万ユーロ(約6200万円)以上の不動産取得、100万ユーロ(約1億2000万円)以上の資本移転、10人以上の雇用機会創出のいずれかを要件として、外国人富裕層を対象に「黄金ビザ」の発給を開始した。

 外国人投資家への発給数は6800件に上り、その親族にも1万1600件のビザが発給された。ポルトガルはこれと引き換えに、不動産投資を中心に41億5000万ユーロ(約5130億円)を獲得。国別発給数の首位は中国で、次いでブラジルだった。