■「つながりを壊せ、出自を壊せ」

 政府文書が示すところによれば、こうした「職業訓練センター」の周囲には有刺鉄線が張り巡らされ、赤外線カメラも設置されている。内部では、催涙ガスや、テーザー銃などのスタンガン、「狼牙棒(ろうげぼう)」と呼ばれる、とげの付いたこん棒などを与えられた大勢の警備員が、「研修生」を厳しく管理している。

 ある文書には、自治区トップの陳全国(Chen Quanguo)共産党委員会書記の次のような発言が引用されていた。いわく、センターは「学校のように教育し、軍隊のように管理され、刑務所のように警備され」るべきだ。

 また、別の文書にはこう記されている。より優れた中国公民を生み出すために、センターではまず、入所者の「血筋を打ち壊し、基盤を打ち壊し、つながりを打ち壊し、出自を打ち壊さ」なければならない──。

■収容所数は180カ所超

 AFPのまとめによると、新疆ウイグル自治区内にはこうした施設が少なくとも181か所存在する。

 中国中央テレビの報道では、センターへの参加は自由意志に基づくものと紹介され、そこでは、そろいの制服を着た「研修生」たちが、標準中国語を学習したり、編み物や織物、パン焼きといった職業技術の研修を受けたりしていた。

 ウイグル自治区にセンターが登場するのは2014年にさかのぼる。自治区内で死者を出す暴動が起きたことを受けて、地元当局が「テロリズム」に対する「厳打」と呼ぶ厳しい取り締まりに乗り出した年だ。

 ただ、施設の建設に拍車がかかったのは2017年初めになってからだ。この時期に、ウイグル人が住民の大多数を占める自治区南部で、複数の地方政府が「焦点集団を対象とした集中教化センター」の建設加速を命じている。「焦点集団」とは、信仰を持つ人、貧しい人、教育を受けていない人、軍隊に入るのに適した年齢の男性ほぼ全員などを含められるあいまいな表現だ。

 ほどなくして、新疆ウイグル自治区政府は「宗教的な過激思想」の管理に関する条例を公布した。

 当局は、過激派はどこにでも潜んでいる可能性があると警告し、幹部らに対し、25の違法な宗教活動のほか、禁煙やテントの購入といった無害と思える行動を含め、75の過激主義の兆候に目を光らせるよう指示した。

 「拘束すべき人物はできる限り拘束せよ」。幹部らはそうも命じられている。