【12月30日 AFP】26日に行われた18-19イタリア・セリエAのインテル(Inter Milan)対ナポリ(SSC Napoli)戦で、ナポリのカリドゥ・クリバリ(Kalidou Koulibaly)がインテルファンからの人種差別に遭ったことを受けて、ナポリの本拠地で行われた29日のボローニャ(Bologna FC)戦では、無数のナポリサポーターがクリバリのマスクをかざして同選手を後押しした。

 本拠地サン・パオロ・スタジアム(San Paolo Stadium)には、「われわれは皆クリバリ」と書かれたポスターも各所に張られ、その中でチームは3-2の勝利を収めた。

 セネガル代表としてプレーするフランス出身のクリバリは、インテルの本拠地サン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)で猿のまねや差別チャントの標的となり、最後は審判への挑発行為で退場処分を宣告された。試合の前には、サポーター同士の衝突が原因となり、インテルサポーターの1人が車にひかれて死亡するという出来事も起こっていた。

 それから3日後のボローニャ戦で、ナポリファンはクリバリの顔が描かれたお面をかざしたり、名前の書かれたTシャツを着たりしてクリバリとの団結を示した。

 スタジアム前方には「われわれは皆クリバリ、人種差別にノー」と書かれた横断幕が掲示され、「クリバリは兄弟」「私たちはクリバリとともに」と記したチラシも配られた。「小さいけど、僕もクリバリと同じ人間」と書いた紙を掲げる幼いファンもいた。

 ピッチ上に今節は出場停止となるクリバリの姿はなかったが、アルジェリア出身のファウジ・グラム(Faouzi Ghoulam)がクリバリの背番号である26番のユニホームを着てウオーミングアップを行った。

 欧州サッカー連盟(UEFA)は、26日の試合では差別が発生した場合の適切な手順が取られなかったと話している。チームを率いるカルロ・アンチェロッティ(Carlo Ancelotti)監督も、ボローニャ戦が行われた29日、試合を一時中断してほしかったと話している。

「少し誤解があるようだが、われわれは試合の中止は一度も望んでおらず、3回求めたのは一時中断だ」「UEFAもわれわれが正しいと認めているのに、驚いたことに審判連盟の会長はそうは思っていない」「二度と起こってほしくないし、もしあれば、われわれはピッチを去る」

「5万人の人々がクリバリの名前を呼んだのは非常に壮観で、市内全体にも良い雰囲気が流れている」「カリドゥは非常に人気で、多くのスポーツ選手からメッセージが寄せられている。状況を改善するのはそう難しくないという証拠だ」 (c)AFP