【12月29日 CNS】人工飼育下で育ったジャイアントパンダ「琴心(Qin Xin)」と「小核桃(Xiao Hetao)」の2頭は27日午前、中国・四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)都江堰(Dujiangyan)にある龍渓─虹口国家級自然保護区の大自然の中に放たれた。成都地区に人工飼育のジャイアントパンダが放たれた、初めてのケースとなる。

 この2頭は、中国ジャイアントパンダ保護研究センター(China Conservation and Research Center for the Giant Panda)の訓練所で野生化訓練を行っていた。直前にセンター職員が実施した健康診断によると、琴心は体重64キロ、体長117センチ、小核桃は体重62キロ、体長99センチ。2頭とも発育状態などは順調で、検査対象項目に問題はほとんど見られなかった。

 この日、自然保護区は大雪に見舞われた。午前10時55分、職員が2頭のパンダのおりを開けると、小核桃は少し戸惑った様子を見せたが、その後は一度も後ろを振り返ることもなく大雪の山林の中に駆け込んだ。琴心はおりが開くなり、一目散に職員らが見守る視界から消えた。

 中国では2003年からジャイアントパンダの野生化事業を始め、17年末までに11回でパンダ25頭の野生化訓練を実施。このうち9頭が野生に放たれ、7頭が生存している。野生に放たれたパンダの生存状態は良好で、活動範囲を広げるなど同プロジェクトに貴重な経験を提供し続けている。

 2頭を自然に返したのち、自然保護区の研究員らで組織した専門の監視チームは、2頭に対する追跡監視に着手した。データを収集し、野外研究をさらに進めることで、人口飼育下にあったパンダがどのようにして新しい野外環境に適応していくのか、野生種とともに溶け込んでいくのかを理解する手がかりにする。(c)CNS/JCM/AFPBB News