【1月3日 AFP】日本のウイスキーは近年、国際市場でのシェアを拡大し、英スコットランドやアイルランド、米国といった伝統的なウイスキーの生産地を驚かせている。長年、限られた地域が独占してきたウイスキー市場において、日本の製品が通の間で人気を博しているのだ。

 こうした日本の成功に触発されたのか、ワインとコニャック大国として知られるフランスでも、かつては閉鎖的な世界と言われたウイスキーの世界に挑戦する起業家が現れ始めた。

 仏ウイスキー連盟(French Whisky Federation)によると、現在、フランスには33か所のウイスキー蒸留所がある。同国では、最低3年間のたるでの熟成が求められており、現在熟成中のウイスキーが完成すれば、さらに30の蒸留所がオープンすると見込まれている。

 フランス産ウイスキーは既に79銘柄が市場に出回っている。販売数は2010年の21万5000本から2017年には85万本と4倍近くに増加したが、大半は国内市場向けだった。

 フランスは、世界最大のウイスキー消費国だ。市場調査会社「ユーロモニター・インターナショナル(Euromonitor International)」によると、2014年の1人当たりの消費量は約2.15リットル。ウルグアイの1.77リットル、米1.41リットルがこれに続いた。

 フランス初のウイスキーは1987年、ウイスキー大国アイルランドと海を挟んだ対岸に位置する北西部ブルターニュ(Brittany)のワレンゲム(Warenghem)蒸留所で作られた。ワレンゲムは現在も、仏最大のウイスキー蒸留所となっている。

 フランス産ウイスキーは現在2種類が、欧州連合(EU)の「地理的表示保護制度(PGI)」で保護されている。つまりフランス産ウイスキーは、原産地が明確で、独特の原料や製造法に基づいていると認められていることを意味する。

 PGIの対象とされたフランス産ウイスキーは、アルザス(Alsace)地方のアルザシアンウイスキーとブルターニュ地方のブルトンウイスキーの2種類。欧州でPGIが認められているのはこの他、スコッチウイスキーと独特のつづり「whiskey」が使われるアイリッシュウイスキーのみとなる。

 リヨン(Lyon)のウイスキー蒸留所「ニンカシ(Ninkasi)」の創設者クリストフ・ファルジェ(Christophe Fargier)氏は、「フランスは非常に良いウイスキーを作ることができる。大麦やモルト、純水など必要な原料がそろっており、蒸留や熟成においても熟練した技がある」と話す。ニンカシはウイスキー製造を始めたばかりだ。