【1月3日 AFP】イタリア・フィレンツェ(Florence)に、世界最高級の絹織物を紡ぎ出す工房がある。この工房では、今年没後500年を迎えるルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の設計図に基づいて製造された機械が今も現役で使われている。

 1786年創業で欧州最古の絹工房の一つであるアンティコ・セティフィチョ・フィオレンティノ(L'Antico Setificio Fiorentino)は、同市歴史地区サンフレディアノ(San Frediano)にひっそりとたたずむ。

 同工房の織り機は17~19世紀のものばかりだが、とりわけ貴重なのが1519年に死去したダビンチの設計図に基づいて造られた機械だ。

 職人のベアトリーチェ・ファッツィニ(Beatrice Fazzini)さんによると、これは「ダビンチのオリジナルデザインに基づいて17世紀末に造られた整経機」で、今でもこの機械を使って縁飾りなどを作っているという。

 同工房で作られた織物は、イタリア各地の宮殿やフィレンツェのウフィツィ美術館(Uffizi Gallery)に加え、デンマーク王室の邸宅やロシア大統領府などでも広く使用されている。

 またローマカトリック教会のフランシスコ法王(Pope Francis)をはじめ、オペラ歌手マリア・カラス(Maria Callas)やテノール歌手のアンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)も、この伝統ある織り機で生み出された服を着用したことがあるという。(c)AFP