【12月27日 AFP】アフリカ北西部沖にあるスペイン領カナリア(Canary)諸島で26日、71歳のフランス人男性がオレンジ色のたるの形をしたカプセルに乗り込み、海流だけを頼りに大西洋を横断する航海に出発した。3か月後のカリブ海到達を目指す。

 この男性は元空挺(くうてい)部隊員のジャンジャック・サバン(Jean-Jacques Savin)さん。サバンさんは同諸島のエルイエロ島(El Hierro)から出発した後、AFPとの電話で「天気は最高だ。波の高さは1メートルで、時速2~3メートルで進んでいる」と語った。

 カプセルは全長3メートル、直径2.1メートル。樹脂塗装された合板でできていて、波に耐え、シャチの襲撃に備えるため頑丈に補強されている。

 空の状態での重さは450キロで、内部には台所と寝台、貯蔵庫を備えた6平方メートルの居住空間がある。

 また、サバンさんは、大みそか用にフォアグラひと塊とフランス産白ワイン「ソーテルヌ(Sauternes)」を1本、1月14日の72歳の誕生日用に赤ワイン「サンテミリオン(Saint Emilion)」1本をカプセルに持ち込んでいる。

 サバンさんは航海中、「WMO(世界気象機関)/IOC(政府間海洋学委員会)合同海洋・海上気象専門委員会(JCOMM)」傘下の国際海洋観測機関「JCOMM業務支援センター(JCOMMOPS)」の海洋学者らによる海流研究に役立てるため、海上に位置表示装置を残していく。

 さらに、狭い場所に閉じ込められ、孤立した状態でいることの影響を調べるため、サバンさん自身も研究対象となっている。

 このほか、ワインも研究対象だ。サバンさんは上記の2本のほかにボルドー(Bordeaux)産ワイン1本を持ち込んでおり、航海終了後、陸上に保管した同銘柄のワインと比較することで、数か月にわたり波で揺られた影響を調べるという。(c)AFP