■教会のざんげやセラピーに似ている

 スマートフォンやソーシャルメディアの台頭によって、SNSのフォロワーとの疑似的な人付き合いがリアルな人間関係に取って代わったことも社会的孤立を強めている。

 マッカーシーさんの顧客は、「ツイッター(Twitter)やフェイスブック(Facebook)の虚空に向かって叫ぶ」代わりに、後でうわさ話を広める心配もない相手、それも、よく知らない自分のことを道徳的な観点からああだこうだと批判しないリアルな人間との交流を楽しめる。

「斬新なアイデアのようだが、実のところ、教会でざんげをしたり、バーに行ったり、セラピストと話したり、美容師に髪を切ってもらう行為ととても似ている」とマッカーシーさんは話す。

「まあ、ざんげというよりは会話ですけど。だから、誰にも言えないような個人的な秘密を打ち明けられることはないし、散歩の途中で泣き崩れる人もいませんね」

 利用者は十人十色。歩く理由もさまざまだ。

 普段は劇場のチケット売り場の主任として働いているウィスコンシン出身の20代のアニー・ディー(Anie Dee)さんはAFPの取材に対し、「健康上の問題があって、長距離はなかなか歩けない。誰かに一緒に歩いてもらうことによって、一人で歩くよりもかなり長い距離を歩いて運動できるんです」と語った。

 また、このサービスを使って散歩を始めてから気持ちが明るくなり、将来に対しても以前ほど悲観的ではなくなったという。

「長時間、一人っきりでデスクワークをしていると、社交性というものが失われがちですよね。でも、こんなふうに歩いて運動すると、気持ちが晴れ晴れしてくるんです」 (c)AFP/Frankie TAGGART