【2月12日 AFP】21歳の重岡優大(Yudai Shigeoka)にとって、夢はボクシングの世界チャンピオンになることだ。ところが今、その夢がノックアウトされかねない事態が懸念されている。2020年の東京五輪で、ボクシングが実施競技から除外される可能性があるのだ。その中で、日本のアマチュアボクサーたちは不安を抱えながら日々を過ごしている。

 拓殖大学(Takushoku University)ボクシング部で主将を務める重岡は、八王子の大学ジムで練習を行った後、AFPのインタビューに応じた。重岡は「僕らはみんな、東京五輪に向けて練習しています」「選手からすると、目の前のもうすぐだった夢が消えてしまったら正直ショックです」と話す。

 国際オリンピック委員会(IOC)は昨年11月、国際ボクシング協会(AIBA)のガバナンスを問題視し、東京五輪に向けたボクシング競技の準備凍結を発表。AIBAは現在、IOCの調査対象となっている。IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、都内で行われた記者会見で「いつも通り、選手を守るためのあらゆる努力」を怠らないと約束しつつ、東京でのボクシング実施を明言しなかった。

 日本ボクシング連盟(JABF)も事態を重く受け止めている。内田貞信(Sadanobu Uchida)会長は「競技人口の減少にもつながりかねない」と話し、五輪除外となればボクシング界にとって「ダメージは大きい」と漏らした。日本のアマチュアボクシングの競技人口は約5000人といわれる。内田会長によれば、彼らは「ずっと五輪のために練習してきて、子供の頃からの夢だと話している。彼らにとって、五輪はそれだけ特別なイベント」だという。

 ボクシングは他の競技に比べて選手寿命が短く、4年に1回の五輪に出られるチャンスはそう多くない。JABFは、IOCの決断が選手たちの士気や意欲の低下を招くことを懸念し、指導者に対しては、選手の様子によく気を配るよう促している。存続を求めて集めた署名は45万筆を超えた。会長は「実施してほしいと心から願っていますし、そうなるはずだと信じています」と話す。