■五輪目指してボクシングを続ける4年生

 ボクシングは古代五輪の時代からある由緒正しい競技で、近代五輪でも、スウェーデンの国内法で当時ボクシングが禁止されていた1912年のストックホルム大会を除き、すべての大会で実施されている。

 重岡は「ボクシングがなくなったら悲しいし、選手はみんながっかりすると思います」と話している。空手少年だった重岡は、13歳でボクシングに転向し、高校時代は4回の全国制覇を経験した。現在は、大学で20人の部員たちと1日2時間、週に6回、ランニングや腹筋、スパーリング、シャドーボクシング、サンドバッグ打ちなどに汗を流す。昨年11月には、アマ最高峰の全日本選手権で優勝を果たした。

 重岡のチームメートで、22歳の4年生、浦島将之(Masayuki Urashima)は、ボクシングが東京五輪から除外されたら「努力が無駄になる」のではないかと憂慮している。

 同じ4年生の多くは、大学の部活引退とともにボクシングに区切りをつけ、就職活動を行うが、浦島は東京五輪出場を目指してトレーニングを続けることを決めた。浦島は「五輪に出るのが夢ですし、東京開催ということで大きなチャンスがあると思っています」と語っている。開催国の日本は男子5つ、女子2つの出場枠を確保しているため、選手は有利な状況にある。通常はアジア予選の結果に左右され、2016年のリオデジャネイロ五輪で手に入ったのはたったの2枠だった。

 IOCの最終的な判断は、少なくとも今年6月までは出ないとみられる。重岡、そして浦島も、ひとまずは実施を信じて練習を続けるとしている。「自分にその実力があるかはともかく、最後まで全力を尽くしたいと思っています」と話す浦島は、東京五輪を最後にボクシングを引退するつもりだと明かし、「とにかく五輪に出たいです」と続けた。(c)AFP/Natsuko FUKUE