【12月23日 AFP】米メディアは22日、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ決定と、これを機とした株価急落を受け、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長を解任する法的権限について複数の閣僚と私的に協議していたと伝えた。

 パウエル氏は、バラク・オバマ(Barack Obama)前大統領時代にFRB議長を務めたジャネット・イエレン(Janet Yellen)氏の後任としてトランプ氏に指名され、今年2月に任期4年のFRB議長に就任した。大統領が前政権下でのFRB議長を交代させたのは約40年ぶり。

 だが米CNNとブルームバーグ(Bloomberg)が匿名の関係者らの発言として報じたところによると、FRBが19日に政策金利の追加引き上げを決定し、来年も利上げを継続する方針を示したことをトランプ氏は激怒していたという。

 週末21日のニューヨーク株式相場は、ダウ工業株30種平均が大幅続落。10年ぶりの大きさとなる週間下落率を記録している。

■議長解任はFRBの独立性侵害に

 トランプ氏の強気な通商政策とドル高が相まって、市場には米国および世界の成長が鈍化するとの警戒感が生まれ、株価下落を招いている。

 米国の大統領は伝統的にFRBの独立性を尊重してきたが、トランプ氏がこれを意に介する様子はない。トランプ氏はこれまで「常軌を逸している」「制御不能」などとFRBを批判。米経済成長にとってFRBは中国よりも大きな脅威だとの発言もある。18日にもツイッター(Twitter)でFRBに対し、利上げで「新たな過ち」を犯さないよう警告していた。

 しかし、パウエル氏を任期前に解任しようとの動きは、世界最大の経済大国である米国の金融政策を担うFRBの独立性を直接侵害するものであり、株式市場の大混乱を招く恐れがある。(c)AFP