【12月22日 AFP】ミャンマー国軍は21日、情勢不安が続く北部と東部で4か月間にわたり「すべての軍事行動」を停止すると発表した。軍の停戦発表は異例で、専門家らは同国の少数民族武装勢力に対し不安定な和平プロセスへの参加を促す措置だと指摘している。

 ミャンマーでは英国から独立した70年前から国境周辺地域で衝突が続き、さまざまな武装勢力が自治や資源、領土をめぐる闘争を続けている。衝突の続く地域では数万人の住民が避難民化し、多くは繰り返し家を追われている。

 ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問の主導する和平プロセスにはこれまで10勢力が同意したが、複数が参加を拒否。武装勢力側は軍に対し戦闘の停止を求めていたが、軍は断固としてこれを拒んできた。

 軍は21日の声明で、「交渉の開始を可能とするため」に一方的な停戦を実施すると発表。停戦は即時発効され、4月30日まで続く予定だが、軍は「必要であれば」紛争に再び関与する権利を保持するとしている。

 ただし、西部ラカイン(Rakhine)州は停戦の対象外となった。同州では軍が実施した厳しい取り締まりにより、迫害を受けるイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)約72万人が隣国バングラデシュに避難。国連(UN)の調査団はこれがジェノサイド(大量虐殺)に相当するとの結論を下している。

 軍はラカイン州で現在、仏教系武装勢力との戦闘を続けており、最近の衝突では数百人が家を追われている。

 ミャンマー和平・安全保障研究所(MIPS)のエグゼクティブ・ディレクター、ミン・ゾー・ウー(Min Zaw Oo)氏は、ミャンマー軍の停戦発表は「ミャンマー史上初めてだ」と指摘し、始まったばかりの和平プロセスに一部の勢力を呼び込む可能性があるとの考えを示した。(c)AFP