【12月21日 AFP】中国スーパーリーグ(1部)は20日、来シーズンから国内選手の年俸上限を1000万元(約1億6000万円)にするサラリーキャップ制を導入すると発表し、いわゆる「陰陽契約」を根絶させると明かした。

 この厳しい方策は、中国サッカー協会(CFA)が多額の投資を取り締まり、各クラブにより厳しい財政上のルールを順守させるために行っている取り組みの一環となる。

 中国中央テレビ体育チャンネル(CCTV-5)や他のメディアによれば、シーズン後に上海で行われたCFAの会議の結果、国内選手はボーナスや奨励金も制限されることが決まったという。

 このサラリーキャップ制は来年春に開幕する新シーズンから採用される予定だが、外国籍選手はその対象にならない。

 しかし、各チームの年間支出額の上限は2019年が12億元(約194億円)となっており、2021年には9億元(約145億円)まで減額となる。

 2年前、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)に所属していたオスカル(Oscar dos Santos Emboaba Junior)が6000万ユーロ(約96億円)で上海上港(Shanghai SIPG)に加入すると、カルロス・テベス(Carlos Tevez)もライバルである上海申花(Shanghai Shenhua)に移籍しており、両選手は世界でも最も給料の高い選手のうちの一人となった。

 フッキ(Hulk)やパウリーニョ(Jose Paulo Bezerra Maciel Junior ‘Paulinho’)といった外国籍のスター選手が数多く移籍してきたことで、中国スーパーリーグの各クラブが年俸や移籍金が極端に高額になった世界の移籍市場を捻じ曲げているという恐れをもたらした。

 しかしそれ以降、CFAは各クラブに対して大型補給を止め、代わりに若手選手の育成に集中するよう強いる働きかけを行い、来月1日に開かれる冬の移籍市場では過度な額が投じられる可能性は低くなっている。

 CFAは昨年、外国籍選手の獲得に要した額と同額の税金をクラブに課し、1試合に起用できる外国籍選手の数を3人に制限した。

 また数ある他の規則では「陰陽契約」の規制の一環として、各クラブは年末までに選手や監督との契約書を提出しなければならなくなった。

 税務署に提出する契約書と、合意した本当の金額が記されている契約書を二つ用意するというこうした実態は、中国のサッカー界や芸能界でまん延していると考えられている。

 これらの脱税策の企みがCFAから摘発されると、違反した選手や監督は1年から3年の出場停止処分を受け、そのクラブは勝ち点剥奪やリーグからの除名処分になる可能性がある。(c)AFP/Peter STEBBINGS