【12月21日 東方新報】日本の瀬戸内海を舞台に、3年に1度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019(Setouchi Triennale 2019)」の中国発表会が18日、北京で行われた。中国国際放送局(CRI)が報じた。

 香川県高松市から駆けつけた芸術祭実行委員会の佐藤今日子(Kyoko Sato)事務局次長は、「小さな島々の美しさと、おじいさんおばあさんの元気な姿を実際に見てほしい」とあいさつし、参加を呼びかけた。

 総合ディレクターの北川フラム氏(Fram Kitagawa)は基調講演を行い、「海の復権」という芸術祭のテーマをめぐり、アートと地元の食や伝統工芸などとの組み合わせにより、過疎によって力を失った島々に輝きと誇りを取り戻すための取り組みを紹介した。発表会では、「瀬戸内国際芸術祭2019」のメインビジュアルである「海中の生物」が持つ意味や、アートツアーに関する説明も行われた。

 瀬戸内国際芸術祭への中国人アーティストの出展は、2016年の林天苗(Lin Tianmiao)氏に続いて、来年は朱哲琴(Zhu Zheqin)氏、向陽(Xiang Yang)氏などの出展が決まった。「今後も中国からの出展が増えるだろう」として、主催側は期待している。

 発表会では、3人の中国人アーティストによる発表もあった。歌手出身の朱氏は、小豆島でサンプリングした音声をはじめ、「音」に着目した作品「鐘舎Bell House」を作る計画を紹介した。「地元住民にとっても憩いの場所になれば」と話し、アプリの開発やSNSを生かした発信の計画も明らかにした。

 続いて、現在は深センを拠点に、「航海」をテーマにアート活動をしている向氏は、赤ん坊の頃に母親に抱かれて船で旅をした時の船のイメージ図を見せながら、「地元の人たちにも喜ばれる、世界各国のアーティストや観光客との交流の場にできれば」と作品に寄せる期待を話した。

「瀬戸芸」の略称で親しまれている瀬戸内国際芸術祭は、2010年に地元香川県、福武財団、アートディレクターの北川フラム氏の連携により始まった、3年に1度開かれる現代アートの祭典だ。12の島と2つの港を舞台に、世界トップレベルのアーティストが現代アートを展開すると同時に、アートを道しるべに島々を巡りながら、心癒される風景と島の文化や暮らしに出会うという新しい旅のスタイルも提唱している。

「瀬戸内国際芸術祭2019」は来年4月26日に開幕し、春、夏、秋の3つのシーズンでそれぞれ開催され、会期は計5か月にわたるという。(c)東方新報/AFPBB News