【12月24日 東方新報】「デポジットの返金申請をしてからもう20営業日が過ぎたが、未だに返金されていない」。北京市に住む艾さんは語る。

 艾さんは、中国のシェア自転車プラットフォーム「ofo」初期から登録しているユーザーだ。99元(約1600円)のデポジットを支払ったにもかかわらず、約束された返金期限を過ぎ、何回もカスタマーサービスに電話をしたがつながることはなかった。

 艾さんのような消費者が、シェア自転車やシェア充電器、シェア自動車などのアプリで多様なデポジット返金問題に巻き込まれている。

 今年の冬、シェアリングエコノミーの業界は辛い日々だ。かつては投資家が競って参入した業界だったが、爆発的成長の後は、多くの企業が経営難に陥っている。専門家の統計によると、わずか半年の間に、シェア経済のユーザーは約15億元(約245億円)の損失を被り、挽回は困難だという。企業の生存のためには、客が大事なのか、それとも客の金が大事なのか?

■返金受けられず、ユーザーに焦り

 昨今のデポジット問題について、ofo側では「返金は問題ない」としているが、実際は楽観的な状況ではない。

 中国消費者協会の調査によると、シェア自転車70社のプラットフォームの中で34社が倒産し、その中で苦情件数が最も多かったのは「酷騎単車(Kuqi Bike)」で21万件、苦情総額は10億元(約163億円)に上る。

 シェア自転車のデポジットの取り扱いは、政府の規定によると「ユーザーから受け取ったデポジットは他の用途に流用してはならず、交通、金融など主管部門の監督を受けなければならない」としているが、多くの企業は未だにこの点について曖昧なままで、情報公開はほとんどなされていない。

 シェア自動車アプリ「途歌(TOGO)」のユーザーによると、「車を使う前にデポジットを支払い、使い終わったら、20日後にデポジットの返金申請をし、さらに、7営業日後に返金するというのがルール。もし車の使用中に何らかの問題が生じた場合、問題解決後の返金となる。1500元(約2万4000円)は小さくない。申請しても遅々として返金がなければ心配になりますよ」。

■投資家の後押しで起業、投資家の退却により衰退

 投資会社のある責任者は、「シェア自転車が始まった頃は、ユーザーはその使いやすさに喜び、投資家は先を争って投資した。投資は企業家の事業に対する情熱を引き出し、それがまた競争を激化させた」と話す。

 統計によると、2017年には190社のシェア経済の企業が融資を獲得、融資額は1159億5000万元(約1兆8900億円)に上った。対象は、シェア自転車、シェア自動車、シェア充電器など11領域にわたる。2018年が終わろうとする現在、投資熱の後退につれて、シェア経済市場は激しい入れ替えが進んでおり、2番手以下の企業は撤退を迫られている。

 シェア経済のビジネスモデルについては当初から、成熟度と持続性について疑問が持たれていた。インターネット関連ビジネスにありがちな「利益無視・シェア重視」の傾向が見られ、安定して利益を得られる方法はまだ見つかっていないようだ。(c)東方新報/AFPBB News