【12月20日 AFP】タイのユーチューバーが、ミス・ユニバース(Miss Universe)タイ代表のためにシリワンナワリー・ナリラタナ王女(Princess Sirivannavari Nariratana)がデザインした衣装をネット上で批判したところ、名誉毀損(きそん)で訴追される恐れに直面している。

 このユーチューバーは、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」で「ミクシー・ビッグマウス(Mixy Bigmouth)」というハンドルネームで活動している女性。17日、シリワンナワリー王女がデザインし、今月バンコクで開かれたミス・ユニバース世界大会で参加者が着たブルーのドレスを酷評するコメントを、フェイスブック(Facebook)に書き込んだ。

 コメントは拡散し、女性はその日のうちに問題の投稿を削除して謝罪した。しかし、来年予定される総選挙に出馬予定の男性は19日、AFPの取材に対し、女性を名誉毀損容疑で告訴したことを明らかにした。タイの法律では、名誉毀損罪は非親告罪とされているので、被害者本人以外でも告訴できる。

 男性は「ネット上のアイドルは大勢のファンがいる俳優や女優みたいなものだと思う。だから、彼らがネット上で不正行為を働いた場合、謝罪では済まされない」と理由を説明した。

 タイ警察の報道官も、女性を捜査していることを認めた。ただ、正式な訴追はまだ行っていないという。

 タイでは名誉毀損で有罪となった場合、最大2年の禁錮刑を科される。

 タイ社会では王室は神聖視されており、不敬行為を禁じる極めて厳しい法律で守られている。そのため、あえて王室を批判する人はほとんどいない。不敬罪が適用されるのは国王と王妃、皇太子、摂政を侮辱した場合に限られるが、他の王室メンバーに対する批判もタブー視されている。

 AFPはユーチューバーの女性に取材を試みたが、回答は得られていない。(c)AFP