■「美しい景色」

 遠方では、浚渫(しゅんせつ)船が「マルケル・ワッデン(Marker Wadden)」と呼ばれる人工群島の最後の砂丘の造成を支援している。

 自然保護に取り組むオランダのNGO「ナチュールモニュメンテン(Natuurmonumenten)」が主導するこの計画の費用は6000万ユーロ(約77億円)で、その大半は個人からの寄付で賄われている。

 群島を建造したオランダ海洋土木大手ボスカリス(Boskalis)でプロジェクトを指揮したイェルン・ファン・デル・クロースター(Jeroen van der Klooster)氏は「この人工島の独自な点は、島を造るのに沈泥を使っていることだ」と説明する。沈泥は粘土と砂の中間の粗さの堆積層。

 ファン・デル・クロースター氏のチームは、群島の主島に全長1200メートルの「回廊」を掘った。これにより、沈泥が強力な海流に導かれ、渡り鳥の餌場になる可能性のある湿地、肥沃土、貯水池などを形成することが可能になる。

「そのようにして、この美しい景色が生まれた」と、オレンジ色のベストと白いヘルメットを身につけたファン・デル・クロースター氏は木製の観察塔の上で語った。

 木製の野鳥観察所3か所、島の監視員の宿舎、12キロにわたる歩道橋と未舗装道路なども建設された主島は、一般に公開されている。

 残りの4島は、野生生物と植物だけのものとなる。かつて不毛だった場所が今や自然に返ったのだ。(c)AFP/Charlotte VAN OUWERKERK