■ギネス世界記録

 ただの重量挙げとは違って、「世界最強の男」ではトラックをロープで引いたり、丸太を頭上に持ち上げたりと、巨人たちはさまざまな形のパワーを試される。ファンの人気も高いビビーは、2018年大会の丸太挙げ部門のチャンピオンであり、過去にはアクセルプレスの世界大会を制したこともある。

 中でも一番の快挙は、ギネスブック(Guinness Book of Records)に自身とブルキナファソの名を載せたこと。「60キロの人間を1分間に何回頭上で上げ下げできるか」というチャレンジで、「以前の記録は45回だったが、69回の新記録をたたき出した」のだ。

 カナダで修了した後は、生まれ故郷であるブルキナファソ第二の都市ボボジウラッソ(Bobo-Dioulasso)へ戻り、町のスターとして過ごしている。国際大会の出場経験があるビビーは英雄のような扱いを受け、ファンは彼を取り囲んで腕を触ったり、一緒に記念写真を撮ったりさせてほしいと頼む。

 しかし、西アフリカの貧しいブルキナファソでは、トレーニングに必要な器具がそろわず、ビビーは足りないものを自作したり、輸入したりしている。トレーニングは毎日4時間から5時間に及び、自宅の庭にはトラックを引くための46メートルのコースがある。体重を保つため、食事は1日4回。最大で「ニワトリ8羽」を平らげるという。

 収入は大会賞金とスポンサー料が中心だが、ブルキナファソ全土にスポーツセンターをチェーン展開し、「パワーリフターだけでなく、すべてのアスリートを助ける」など、いくつかの計画を温めている。「この国ではたんぱく質が不足しがち」なことから、各種サプリメントの発売や、国内のリフターを支援する連盟の設立も考えている。

 個人としても、次の目標に向けてトレーニングに励んでいる。その目標とは、丸太挙げの世界記録を更新することだ。(c)AFP/Olympia DE MAISMONT