【1月2日 AFP】ダイバーだからとはいえ、皆が皆、まばゆい青い海のサンゴ礁の間を泳ぐ、光り輝く魚の群れを夢見ているわけではない。

 フィンランド人のアマチュアダイバー、ローラ・トゥオミネン(Laura Tuominen)さん(39)にとって究極の潜水体験は、ハンガリーの首都ブダペストの舗装道路の地下にある、見事な水中洞窟の迷路だった。

 ブダペストは温泉ですでに世界的に有名だが、19世紀に発見者のハンガリー人薬剤師の名にちなんで命名されたヤーノシュ・モルナル(Janos Molnar)水中洞窟は、ダイビング愛好家らにとってとびきりの場所となっている。

 全長約7キロのこの洞窟への出入りが許可されていたのは、以前は科学探査のためだけだった。だが、2015年にダイビングセンターがオープンし、有資格の一般ダイバーも入れるようになった。

 麻酔医師のトゥオミネンさんは、入り口トンネルの底部の小さな空間に設けられた台から温水に飛び込み、「ブダペストの下にいる!素晴らしい!」と叫んだ。

 彼女を含むアマチュアダイバーと洞窟探検家の一行はドライスーツに身を包み、圧縮ガスの入った二つのシリンダーを背負い、薄暗い水中へと下降していった。彼らが装着している懐中電灯の光が、徐々に消えていく。

 この一行にはダイビングセンターの職員が随行し、狭い通路と大聖堂のような空間が連なる迷路のような洞窟を通り抜ける案内「ひも」を頼りに、一行を誘導する。