■出口の見えない戦闘と混乱

 天然資源に恵まれながらも最貧国の一つである中央アフリカでは、長年続く政情不安で経済はほころび、暴力がはびこっている。国連は先月発表した報告書で「紛争の急増」に警鐘を鳴らし、「子どもにとってはいっそう生命の危険が大きい」と指摘した。その危険度は5年前に勃発した内戦の絶頂期をしのぐ恐れがあるという。

 中央アフリカでは2013年にイスラム教徒主体の武装勢力連合「セレカ(Seleka)」が、長らく権力の座にあったフランソワ・ボジゼ(Francois Bozize)政権を転覆させて以来、流血の悪循環に陥っている。さらに、セレカに対抗するためにキリスト教系民兵組織「アンチバラカ(anti-Balaka)」が現れ、勢力間の暴力は加速した。

 2013~16年にはセレカを政権から追放するためにフランスが介入したが、フォスタンアルシャンジュ・トゥアデラ( Faustin-Archange Touadera)氏が大統領に選出された後は、介入の度合いを弱めている。

 トゥアデラ大統領は現在、大規模な国連平和維持部隊の支援を得ているが、国土の大部分はイスラム教徒やキリスト教徒の共同体の番人を自負する元反政府勢力や民兵が支配している。