【12月10日 AFP】イエス・キリスト(Jesus Christ)が洗礼者ヨハネ(John the Baptist)から洗礼を受けたと考えられているヨルダン川西岸(West Bank)カスルエルヤフド(Qasr al-Yahud)で9日、1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)時に埋設された地雷の除去作業が一区切りつき、付近にある教会群がおよそ半世紀ぶりに一般公開された。

 ヨルダン川西岸は第3次中東戦争でイスラエル軍が占領。ヨルダン川のほとりには制限つきながら巡礼者が訪問できる場所があるが、カスルエルヤフドの教会群は立ち入りが禁止され、過去50年誰も訪れないまま荒廃が進んだ。

 地雷などの除去作業は今年3月に着手され、これまでにエチオピア正教会とギリシャ正教会の修道院、カトリックのフランシスコ会の礼拝所で除去が完了した。今後、さらにロシア正教会、シリア正教会、ルーマニア正教会、コプト正教会がある場所で除去を進める計画だ。

 死海(Dead Sea)の北に位置する現地での除去作業は、イスラエル国防省、地雷除去を専門とする英慈善団体「ヘイロー・トラスト(Halo Trust)」、イスラエル企業4CIの監督のもと進められている。

 国防省によると、この事業では1平方キロメートルの範囲で約3000個の地雷などの爆発物を取り除く。すべてを除去するにはさらに8か月から1年かかる見通しという。

 除去作業が完了し次第、各宗派に区画を返還し、訪問も許可する予定。

 地雷の大半は、イスラエル軍が1967年にヨルダン軍からヨルダン川西岸の支配権を奪った後、イスラエル軍が埋設したもの。教会群などにはこのほか両国軍が残した不発弾も残されており、イスラエル軍は1970年代に一帯から住民らを立ち退かせた。(c)AFP