【12月10日 AFP】米民主党の重鎮、ジェロルド・ナドラー(Jerrold Nadler)下院議員は9日、7日に明らかになったドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に関する新たな疑惑をめぐり、立証されれば「弾劾に値する罪」に当たる可能性を示唆した。

 現在民主党が過半数を制する下院で弾劾手続きが開始されることになれば、下院司法委員会の委員長に就任予定のナドラー氏が中心的役割を果たすことになる。

 連邦検察は7日、裁判所に提出した書面で、トランプ氏の個人弁護士が女性2人に対して違法な口止め料の支払いを行ったのは、トランプ氏の指示によるものだったと断定。

 ナドラー氏はCNNテレビのニュース番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン(State of the Union)」に出演した際、これが弾劾に値する罪に該当するかという質問を受け、立証されれば「そうなるだろう」との見解を示した。

 ただ、2016年の大統領選以前からのロシアとの共謀疑惑も含め、トランプ氏とその最側近らに関する捜査にいかに対応すべきかという政治上の大問題に直面しているナドラー氏をはじめ他の民主党議員らは、多くの部分が依然未知数だと警戒。

 ナドラー氏は「大統領が弾劾に値する罪を犯したからといって、必ずしも弾劾手続きを開始するとは限らない」と述べ、疑惑が立証された上、なおかつ行動に移すだけの重大性が認められなければならないという考えを示した。

 また下院が極めて異例となる弾劾手続きに着手するとしても、最終的な判断はトランプ氏率いる与党・共和党が過半数を維持している上院での採決に委ねられる。

 ビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領は1998年に下院で弾劾を受けたものの、上院で無罪となった。リチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領は弾劾の可能性が迫り、自ら辞任した。(c)AFP/Brian KNOWLTON