【12月13日 東方新報】いい歳をして未だ定職につかない徐容疑者(35)は生活が困窮し、知り合いの邢容疑者とその女友達の聶容疑者と共謀し、就職活動やケガの治療などに金が必要とうそをつき、母親から10数万元(約160万円)をだまし取った。懐に入った金は、日々の支出に使うほか、邢容疑者が賭博などで使ってしまった。

 金をだまし取られて蓄えを失った年老いた母は、生活のために毎日スーパーでアルバイトをする羽目となった。

 徐容疑者は今年で35歳。若いころにしばらく銀行に勤めていたが、2010年に仕事を辞めてからは家で過ごすようになり、日々の支出はすべて両親の収入に依存するようになった。

 両親は一般的な労働者で、父親は若いころに脳こうそくを患い、半身にまひが残り働くことができないため、わずかばかりの年金で生活をしていた。

 邢容疑者は16年に、徐容疑者と出会う。年齢も近く話も合うので、食事をしたり酒を飲んだりするようになった。後に、徐容疑者は邢容疑者の借りた部屋に住み始める。

 しかし、二人とも正業についていないので収入がない。徐容疑者の両親も際限ない「すねかじり」に耐えられなくなる。徐容疑者が金をせびりに行っても断られることが数回続くと、かつて詐欺罪のために処罰を受けたことのある邢容疑者が悪知恵を出した。

 邢容疑者は自分を銀行の管理職と偽り、徐容疑者とともに家に行き、両親に「必ず彼に仕事を見つけてあげます」と言った。長年ぶらぶらしてきた息子が仕事に就けるとの話を聞き、徐容疑者の両親はほっとした。

 邢容疑者は、年老いた二人に「早く仕事を見つけるにはいろいろと金がかかる」と持ちかけた。「就職したら、証明書の作成費用や入職訓練費用など、毎回数千元から1万元(約16万円)を超える金が必要」として、結局、母親が徐容疑者の銀行口座に金を振り込む羽目になった。

■行員の機転で送金止めたのに…

「就職」した後も、徐容疑者はこれまで同様、両親に金をせびることは変わらなかった。銀行の仕事で帳簿の金額が合わず、数千元の損失を自分で負担することになったとか、高利貸しから金を借り高額の利息を払えないとか、突然の出張で旅費を自分で立て替えなければならないとか、次から次へと両親を騙すための策を編み出したという。

 邢容疑者は徐容疑者の上司として母親に電話をかけ「徐容疑者が出張中に、自動車事故に巻き込まれ骨折をした。病院で治療をするために治療費を前払いする必要がある」と言った。母親は何も言わずに銀行に行き金を振り込もうとすると、詐欺ではないかと直感した行員に送金するのを止められた。

 にもかかわらず、邢容疑者が母親の元に送り込んだ女に金を渡してしまった。