天空の動きを精密に表示する複雑腕時計と数字が並ぶ精緻な螺鈿細工の小箱。二つをみたときに閃いたのは、ビッグバン宇宙論のこと。時という現象も光輝く星も、その膨張宇宙の過程で生成されたものにほかならないし、5センチ四方の小箱こそ宇宙の始まりとされる超高密度極小宇宙のメタファーなのではないかと。パンドラの箱よろしく蓋をあけると、宇宙創成の大爆発が起こり、絶え間なく動いているように観察者の目を欺く数列を量子に見立てると、実におもしろいではないか。宇宙のロマンとかいう、ありふれたアプローチではなく、宇宙物理学的な“理系”解釈で鑑賞すると、これぞ量子的“デペイズマン”といったところか、天文時計と螺鈿小箱との競演に違和感どころか親和性が発見でき、また違った楽しみ方ができるのだ。 (菅原)

グランド・コンプリケーション
セレスティアル Ref.6102P

グランド・コンプリケーション セレスティアル Ref.6102P
パテック フィリップは、歴史的な複雑懐中時計から現代の腕時計まで天空表示のスペシャリストとして名を馳せる。このモデルは、3枚の金属蒸着処理されたサファイアクリスタルのディスクにより、北半球の星と月の動きを精密に表示。風防に描かれた楕円のラインは、ジュネーブおよび同地と同緯度の地点で見える天空を表している。
自動巻き。プラチナ、ケース直径44㎜、3気圧防水。価格要問合せ。
グランド・コンプリケーション セレスティアル Ref.6102P
搭載されるのはマイクロローター自動巻き「キャリバー 240 CL LU C」。わずか直径38㎜、厚さ6.26㎜の中に、300個超ものパーツを組み込んだグランド・コンプリケーション・ムーブメントだ。堂々たる超複雑時計だが、テンワ上に偏心錘を付けることで緩急調整を容易にした、1949年特許取得の「ジャイロマックス・テンプ」なども装備し、実用性も高い。

時計のお問い合わせ=パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター

Tel.03-3255-8109
www.patek.com/ja/

池田晃将(てるまさ)《十進数列飾箱》

S Collection TR-MB7007
2018年 漆、貝、金粉、和紙、檜 5.0×5.0×3.1cm
縦横5cm、高さ3.1cmの小さな飾箱に0~9の数列を無数に並べた〝小宇宙〞である。池田は1987年千葉県生まれ。金沢美術工芸大学大学院修士課程を修了し、現在は金沢卯辰山工芸工房で制作を続けている。この超絶技巧の螺鈿細工は、あわび貝などの貝殻を0.08㎜の厚さにカットし、その小さなチップで数字をつくり、爪楊枝で檜の木地に貼り付けて制作。アナログでありながら、数字がキラキラ光るさまは、まるでデジタル表示板がうごめいているかのよう。都会的でモダンなモチーフを伝統工芸の中に取り入れた作品が、創業180年以上の歴史の中で常に進化を続けるパテック フィリップの究極時計と美しく響き合う。

「第4回 翔ぶ鳥 展-世界に翔くアーティスト-」

2019年1月18日(金)~26日(土) 東京、銀座一穂堂 jp.ippodogallery.com
新春恒例の若手アーティストによるグループ展。美しいモノづくりに賭ける約20人の作品を中心に紹介する。池田晃将の新作も出品予定。